本を飾る時にも役に立つカラーコーディネートの基本的な知識について詳しくご紹介します。
基本的な色の知識
色は、光の波長の違いによって赤・橙・黄・緑・青・紫というように知覚されます。
<波長が長い> 赤 → 橙 → 黄 → 緑 → 青 → 紫 <波長が短い>
波長が長いほど、目から脳へ信号が伝わるのにエネルギーが必要になり、一番エネルギーが必要とされる赤は興奮や警戒を感じ、波長が短い青や紫は落ち着きを感じさせます。
このような色の帯(可視スペクトル / 可視光線)を連続的に配列し円環状にしたものを、色相環(上記画像)といいます。
色相環では、
- 赤・青・黄を「原色」
- 原色を2色混ぜ合わせた、橙(赤+黄)、緑(黄+青)、紫(青+赤)を「二次色」
- 色相環上で相互に向かい合う位置にある色、赤と緑、青と橙、黄と紫を「補色」
といいます。
暖色とは?
暖色とは、赤・橙・黄の色を指します。
光の波長が長い為、目から脳へ信号が伝わるのにエネルギーが必要になり、興奮や警戒を感じさせます。
また、暖色は前方に飛び出してくるように見える為、「進出色」ともいいます。
赤は、喜びや怒りなどの感情を表す色です。
日照条件が悪く、自然光が入らない部屋に温かみを加えるのにも向いています。
橙は安心や幸福感を感じさせてくれる色です。
橙の歴史は浅く、歴史的に有名な古いインテリアには使われていない色のようです(歴史的に橙の人気が高まったのは、1900年代後半のアール・ヌーヴォーおよび、アール・デコの時代のよう)。
黄は明るく陽気な気分にしてくれる色です。
橙同様に歴史が浅く、19世紀はじめにクロムイエロー(明るい黄)が発明されるまで存在しなかった色のようです(それ以前の黄は土に近い黄土色を用いて作られていたよう)。
ベストな色味を探すには、自然光との兼ね合いを考えなければいけない為、使い方がとても難しい色でもあります。
中性色とは?
中性色とは、暖色でも寒色でもない、暖かさも寒さも感じない色のことを指します。
位置づけられる色としては、黄緑~緑・赤紫です。
緑は人の目に負担を掛けない、もっとも安らぐ色で、癒しを感じさせてくれる色です。
また、他の色との相性が抜群によい為、様々な場所に使われている色でもあります。
寒色とは?
寒色とは、青・紫(青紫)の色を指します。
光の波長が短い為、目から脳へ信号が伝わるのにエネルギーをあまり使わず、落ち着きや冷たさなどの鎮静感を感じさせます。
空間を広く見せ、奥行を感じさせてくれる効果がある一方で、自然光が入り難い北向きの部屋では陰鬱な印象与える色でもあります。
後ろに下がってるように見える為、「後退色」ともいいます。
青は休息や沈思黙考を促す色です。
広い空間に用いても目障りでない色で、白との相性がとてもよいです。
紫(青紫)は権威を感じる色です。
紫の中でも赤に近い紫は中性色に位置付けられます。
また、他の色に比べると、上手に使いこなすのが難しい色でもあります。
中間色とは?
中間色とは、白・灰色・黒の色を指します。
彩度を含まない為「無彩色」ともいいます。
白は失敗しない確実な色です。
白といえども色合いは多い為、ベストな色味を選ぶには、自然光との兼ね合いを考える必要があります。
灰色は、陰鬱でどんよりした空気を感じる色です。
単色で見れば暗く感じますが、どんな色とも相性がよく、組み合わせ次第ではとてもおしゃれな色使いができる色です。
黒は光も色もない状態を表す色です。
全体的な色(ベースカラー)として用いられることは少なく、視覚的な違いを強調するアクセント(コントラスト)として用いられることが多いです。
自然色とは?
自然色とは、アースカラー(ナチュラルカラー)ともいい、ベージュやカーキなどを含む茶色系の色を指します。
木材やレンガなど、インテリア建材そのものの色にも自然色が多いです。
産業革命以前の時代には、色を自然な物から抽出するしか方法がなかった為、鮮やかな色はとても高価でした、その為、広く日常で用いられていた色はナチュラルカラーだったようです。
茶色は2色以上の色を混ぜ合わせないとできない色なので色相環には登場しない色です。
自然界に多く見られる色で、室内装飾の大半を茶色が占めていても違和感がありません。
配色の計画を立てる
カラーコーディネートは補色の組み合わせが基本ですが、それだけではなく、色々な条件を考慮しながら色を選んでいく必要があります。
そこで重要になるのが、カラースキームです。
インテリアコーディネートにおけるカラースキームとは、室内(天井・壁・床・家具・小物)の具体的な色決めを行う色彩計画のことを指します。
こちらでは、そんな色彩計画を立てる時に役立つ簡単なポイントをご紹介します。
条件によって色味を考える
色彩計画を立てるにあたって一番重要なのが自然光との兼ね合いです。
カラーコーディネートする部屋が東西南北のどこを向いているかによって、選ぶ色が変わってきます。
例えば日差しが入らない日照条件の悪い部屋なら暖色系、南や西向きの日差しが入る明るい部屋なら寒色系など、自然光との兼ね合いは配色を考えるうえで必要不可欠なポイントになってきます。
さらに、光が入った時と、そうでない時でも色味に差が生まれますので、その部屋をよく利用する時間帯なども、カラースキームの中で考慮しなくてはいけない要素になってきます。
次に考えなくてはいけないのが、その部屋の用途。
その空間のどのように使うかによって、相応しい色と相応しくない色を考える必要があります。
例えば、寝室に赤を多用してしまうと、落ち着かない空間になってしまうように、その部屋をどんな環境にしたいかということは必ず考慮しなくてはいけません。
色に統一感を持たせる
闇雲に色をチョイスしていけば、まとまりのない色の組み合わせになってしまうことも懸念されます。
そこでポイントなのが、テーマカラーを決めることです。
例えば床や天井の色は全て同じにするなど、一定のルール(テーマ)を決めておくことで、まとまりのある仕上がりになります。
色をあまり使わずアクセント的に取り入れる
色使いに自信がなかったり、明確な色が定まらなかった場合は、全体を中間色でまとめ、アクセントとして装飾品などにカラーを取り入れるとおしゃれに仕上がります。
例えば白で統一された部屋に暖色のアートなど。
インテリアコーディネートにおけるアクセントとはファッションでいうアクセアリーのようなもの。
一色使いで退屈な印象の部屋だとしても、クッションやカーテン、アートや置物などに色を使っていけばシンプルながらにも面白みのある室内装飾に仕上げることができます。
フォーカルポイントを意識する
インテリアコーディネートにおけるフォーカルポイントとは空間の中で最初に視線が集中する場所で、空間の焦点となるような位置のことを指します。
例えば廊下の突き当たりの壁や、リビングに置かれた大きなソファーなど。
ポイントとなる壁一面を一色で塗りつぶしたり、アクセントになる色合いの家具を設置したりするだけで空間の印象が劇的に変わるのです。
同じ色でも絶妙な色味で差を付ける
例えば白一色の部屋の場合でも、天井は明るい白で床面はクリーム系の白など、色のニュアンスに変化を持たすことで、同系色を用いた室内装飾でも退屈間を払拭することができます。
調和色を利用する
インテリアのカラーコーディネートは補色の組み合わせで成り立っている場合がほとんどですが、色相環上で近い色同士の組み合わせでもおしゃれに仕上がります。
例えば、青と青緑と灰色の組み合わせなど。
グラデーションカラーのような調和色の組み合わせは、色使いに自信がない人にもおすすめのコーディネート手法です。
色彩計画のアイデア源
プロのコーディネーターでもカラースキームを行う時はイメージの源になるような物を準備することがあります。
サンプルボードを作る
サンプルボードとは、カラースキームのアイデアをまとめたメモのようなもので、雑誌の切り抜きや、街を歩いている時に撮影した店舗のショーウィンドウや風景写真、生地や塗料のサンプルを使って色彩計画をまとめたものです。
デザイナーが顧客にイメージを伝えるのに使うプレゼンボードもこれと同様のものです。
この手法を使えば、色の組み合わせに自信がない人でも、おしゃれな色の組み合わせを作り上げることができますし、様々なところから集めたカラーコーディネートのサンプルは、思いつきもしなかった新しいアイデアを生み出してくれます。
色の配分と組み合わせ方
インテリアは色の配分や組み合わせ次第で見た目が大きく変わってきてしまいます。
こちらでは、インテリアコーディネートの中で最も重要な色の配分と組み合わせを考える時に役立つ簡単なポイントをご紹介します。
色の組み合わせ
ひとつの色を選び、その色の濃淡でまとめます。
組み合わせの失敗はしにくいですが、単調になりやすいので、アクセントカラーなどを用いるとよいです。
色調が同一の色で組み合わせます。
複数の色を使用しても違和感がなくまとまります。
類似色でまとめる
色相環近い色同士を組み合わせます。
色味が似ているため自然な雰囲気になりますが、色がぼやけないように注意する必要があります。
色相環で向かい合う色を組み合わせます。
カラーコーディネートの基本となる手法で、ハッキリした印象になります。
反対色を使う場合は色の配分がポイントになります。
色の配分
インテリアをコーディネートする場合、まずは色の組み合わせを考え、次に色の配分(どの色をどのくらいの面積で使うか)を考えます。
色の黄金比でカラーコーディネートすれば、初心者でもまとまりのあるコーディネートを実現できます。
色の配分の黄金比は
空間の大半を占める基調色のベースカラー(床・壁・天井など)が70%
空間に表情を付けるメインカラー(家具やファブリックなど)が25%
インテリア全体にメリハリを付けアクセントカラー(雑貨や装飾小物など)が5%
部屋全体の模様替えをする時は、アクセントカラーではなく、メインカラーを変えると全体のイメージを一変することができます。
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